Israel Japan | Business Guide | 2023

打ち出しています。世界有数の自動車メーカーはそれらを新しい車種に搭 載すべくイスラエルに注目しており、ゼネラルモーターズやダイムラー(現 メルセデス・ベンツ グループ)などの世界的な自動車メーカーが、イスラ エルに研究開発センターを設置しています。また、フォードを始めとする 各企業がイスラエルにリサーチセンターを設置し、技術情報やスタートア ップの探索を行っています。イスラエルは、これらの企業に対して、初期段 階の製品開発から完成品の製造に至るまで、充実した一連の製造支援サ ービスを提供しています。 イスラエルには、バス、トレーラー、消防自動車、軍用車両、コンテナ車 といった最終製品の組み立てメーカーが数多くあります。約60社以上の 企業が、バッテリー、空調システム、車両管理システム、フィルター、ブレ ーキダイアフラム、電動スターターなどのアクセサリーやスペアパーツを 製造しています。また、多くの企業が、自動車に搭載される複雑なシステ ムの構成部品を供給しており、市場には老舗企業と新規参入企業の両方 がひしめき合っています。 さらに、イスラエルは自動車の技術革新でも最前線に立っています。テル アビブの交通事情から、2つのスマートイノベーションが生まれました。 クラウドソーシングによるリアルタイムの交通情報アプリ「 Waze (ウェ イズ)」と、運転支援システム「 Mobileye (モービルアイ)」です。グーグ ルは2013年に「 Waze 」を10億ドル以上で買収し、インテルは2017年に 「 Mobileye 」を150億ドルで買収しました。その結果、この分野のイノベ ーションに拍車がかかりました。現在、イスラエルには、車両サイバーセキ ュリティ、自動車用人工知能、先進運転支援システムなどの分野に特化し たテック企業が数多くあります。 自動車のニーズが高まる中、次世代モビリティに搭載される A I や V 2 X ( Vehicle to Everything )通信技術、サイバーセキュリティにおい てイスラエルへの注目度は高まっていくでしょう。 日本ブランドを世界へ 日本の自動車産業は世界第3位の規模を誇り、日本ブランドの自動車は国 内外で人気を博しています。第二次世界大戦後、日本が国を挙げて経済復 興に取り組んでいる中、自動車産業は成長の 原動力の1つとなってきました。 2022年7月時点で、日本には自動車関連産業に 直接関わりのある工場が約78あり、およそ550 万人が自動車関連の仕事に従事しています。 自動車製造業は、日本における製造業全体の 約89%を占めています。近年、日本は革新的な 技術を駆使して、国内および世界市場で電気自 動車やハイブリッド車を生産してきました。 トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、三菱は、日本で 最も人気のある国産自動車メーカーです。日本 人は外車(輸入車)にも乗りますが、外車の維 持費は国産車に比べて高いため、ニッチ市場 に限定されています。自動車の販売台数は地 方が多く、スペースが限られている都市部で は利便性が高い公共交通機関が発達している ため、多くの人々がそちらを利用しています。 また、スペースの不足や高齢化社会における利便性の需要、単身世帯の増 加などにより、小型で軽量の「軽自動車」という新しいカテゴリーが誕生 しました。軽自動車は保険が比較的安く、税制上の優遇措置も適用され ています。また、日本のほとんどの自動車メーカーが軽自動車を商品ライ ンアップに加えており、人気を博しています。日本においては軽自動車の 人気は限定的(主に初心者ドライバーや女性)ですが、欧州では非常に 人気のあるカテゴリーとなっています。日本の自動車メーカーの報告によ ると、2021年の軽自動車の新車販売台数は165万台であり、最も販売台 数が多かった車種はホンダの「 N - BOX 」で19万台でした。 また、他の国と同様、日本の自動車業界も電気自動車を推進しています。ト ヨタは、自動車販売台数において日産とホンダを合わせた数を上回る日本 トップの自動車メーカーですが、2020年に2人乗りの電気自動車を、2022 年にはバッテリー式電気自動車( BEV )を発売しました。トヨタは2030年 までに30車種の BEV を展開する計画であり、同年までに世界で約350万 台を販売したいと考えています。トヨタに限らず、日本の大手自動車メー カーは、電気自動車やハイブリッド車の分野で大きなイノベーションを起 こそうと計画しています。 新型コロナウイルスの感染拡大により、自動車産業は大きな打撃を受け、 日本の自動車メーカーも、世界の生産拠点の稼働を一時的に停止しなけ ればなりませんでした。輸出入も影響を受け、特に、製造工程に不可欠な 半導体チップの供給不足が深刻化しました。これにより、2020年の日本 での販売台数は23%減少し、トヨタは2021年の世界生産台数を計画値 の40%削減すると発表しました。しかし、コロナ禍から平常状態に戻り つつある現在、日本の自動車産業は、経済を再び前進させるための舵取 りを始めています。 今後10年間の最重要課題は、よりクリーンな地球環境の実現に向けて、 グリーンテクノロジーを自動車分野に適応させることです。すでに日本企 業は、国内外の市場向けに、電動バイクや電気自動車の開発に取り組ん でいます。国際的な需要の高まりとともに、今後は技術革新がさらに求め られることでしょう。日本は商用車も製造しており、国内販売以外にも、中 東やアフリカ、アジア各国へも輸出しています。 Israel-Japan > Business Guide > 2023 40 > Smart Transportation > Sector Review

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